■ 北海道流通戦争三国志〜第1回イオン北海道



北海道のスーパー業界はかつてない程の流通戦国時代に突入してしまいました。中でも、イオングループ・アークスグループ・コープさっぽろ(生協)の3強が凌ぎを削っています。これはまさに北海道流通業界の“三国志”状態です!

7〜8年前位までは北海道には色々なスーパーが台頭していました。この流れを大きく変えたのがイオングループのジャスコを核とするイオンショッピングセンターの北海道進出でした。

かつてイオンの北海道戦略は『緩やかな連帯』と言われる方式をとっていました。つまり“間接的統治”です。これはイオンが、北海道の主要流通企業の株を買う事で筆頭株主または大株主になり業務提携を結んで、その企業(道内企業)の経営に関与して行く事です。 ホームセンター北海道最大手『ホーマック』や、ドラックストアー北海道最大手『ツルハ』 がそれに当ります。筆頭株主(又は大株主)がイオンになっているはずです。

そして提携を結んで行きます。主にはイオンの自社開発商品であります『トップバリュ』を提携先で販売する事で売上と利益を地道に上げていくという方式であったと考えられます。

しかしイオンも本州の新規出店と売上確保に限界を感じたからか、“新天地”北海道へのイオン本体進出を模索し始めました。遂に“黒船来襲”が間近に迫って来ました…。

ただし北海道には厳しい冬の環境があり、他の日本国内の地域と気候が違う為、商習慣も異なり一筋縄では行きませんでした。そこでイオンは二本立てで北海道戦略を考えていたみたいです。 まずは直接的になりふり構わずイオンの大型SCを出店する計画です。次に地場最強を誇っていたマイカル北海道『サティ』(現ポスフール)を傘下に入れて間接的統治をしていく計画でした。

ところがどちらの計画もそう簡単には行きませんでした・・・!!

直接的にイオン本体を出店する計画として、まずは札幌市北区の新琴似地区に4〜5万u級の巨大SC出店を考えましたが、出店計画用地が建築制限のある市街化調整区域であった為、札幌市(北海道)に対して開発できる市街化区域へと変更する様に要請しましたが、何と!市側はそれを拒否したのでした。この背景には地元商店街らの圧力が市側にあったと推測されます。これで、新琴似出店計画は頓挫してしまいます。

次にマイカル北海道『サティ』を傘下に入れるという計画ですが、当時、マイカル北海道の親会社である『マイカルグループ』が経営破たんし、イオンが経営を引き継ぐ事になりました。子会社(正確には関連会社扱い)であるマイカル北海道は簡単に傘下入りすると思っていたのですが、何と!マイカル北海道は自主独立路線を貫くと“反対表明”をして来たのです。名前を “ポスフール” に変えてまでの強い抵抗を示して来ました。

これにはイオンも焦りの色を隠せなかったみたいです。何がなんでも北海道戦略を成功させたいイオングループは、とりあえずはマイカル北海道(ポスフール)の経営体力を弱らせてから傘下入りする様に誘導する事を考えました。それにはポスフール店舗があるすぐ側に、ポスフールの数倍はあるイオンの巨大SCをオープンさせ、ポスフール店舗を次々と閉鎖に追いやるという強行的戦略に打って出て来ました。

手始めに道内スーパー売上高第1位(当時直営130〜150億円)の同社主力店舗である 釧路サティ(ポスフール釧路)をターゲットにしました。10キロ程度の距離にイオン釧路昭和SC(店舗面積約3万u)をオープンさせました。当時の釧路サティは2万3千uでしたので、ひとまわり程大きなものでした。マイカル北海道も意地になり釧路サティを3万3千uまでに増床し、しかもワーナーマイカルシネマズ(複合映画館)を誘致してまでの必死の抵抗をして来ました。イオン釧路昭和SCは大型書籍店等のテナント誘致が円滑に行かず、結果的に釧路サティに軍配が挙がったみたいです。

イオンは次に札幌市東区にある東苗穂サティを狙います。ここは釧路サティに比べて1万3千uと規模も小さく、成功すると踏んだのでしょう。目と鼻の先にイオン札幌苗穂SC(約3万u強)を、3キロ先にイオン札幌元町SC(約2万5千u)を出店して、東苗穂サティを挟み撃ちにしました。これにはさすがのサティも撤退を余儀なくされました。

そして次は釧路サティと同じく同社の主力店舗である帯広サティ(当時の売上高直営100億円強)がある帯広市へのイオンSC出店を模索し始めました。元々資金力が違うだけに、さすがの地元の勇であるマイカル北海道(ポスフール)も遂に白旗をあげてイオングループへの傘下入りをする事となりました。現在ではポスフールは、社名をイオン北海道に変えて、社長もイオングループ出身の植松氏となり、数年に及んだ『イオン-ポスフール戦争』は終結しました。
【イメージ画像:http://nikoseitai.net/guti/koramu/22/ionnvspos.jpg

北海道の風土にも慣れて来たイオンは、新規出店も加速させて直営店舗だけで11を数えるまでになり、ポスフールを傘下に入れて、イオン北海道で売上高2千億円を超えるまでに成長を遂げました。北海道流通三国志の一つがここに誕生しました。

第2回目はアークスグループ中心に、第3回目はコープさっぽろ&これからの北海道流通業界についてお話して行きたいと思います。【続く】


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